photographer/萱野雄一

Tottori Key Person / No.016

鳥取美少女図鑑vol.2にカメラマンとして参加された萱野雄一さん。米子市を中心に、広告撮影・作品撮り・ショーの撮影など幅広い活動を行っている。どんな時も1カットに大切な想いを込めてシャッターを切る。萱野さんの、写真ひとつひとつに対する気持ちをインタビューで追った。

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『後光射す、宍道湖』

その時にポジフィルムの綺麗さを知ったんです
―写真をはじめたきっかけは?
「実家がカメラ屋だったんですけど、中学・高校は全然写真に興味がありませんでした。それで、高校を卒業する時に母親が『カメラ屋の息子なのに一台もカメラを持ってないのはどうなの?』って言ったんですよね。そこではじめてミノルタの一眼レフを持たせてもらったんです。その時はまだフィルムでした。持ってみたのはいいけれどやっぱり興味がなくて、その頃はバイクの写真とか友達の写真ばかり撮っていましたね。大学を卒業して米子に戻ってきてからは、実家の手伝いをしていました。それからしばらくしてかなぁ…、ポジフィルムっていうプロが使うフィルムで撮影をしないといけないことがあって、その時にポジフィルムの綺麗さを知ったんです。本番の撮影をする前に、テストとしてポジフィルムで花の写真を撮ったんですけど、出来上がりがすごく綺麗だった。それがきっかけでした。」

―そこからはいろんな作品を撮るようになったわけですね。
「そうですね。うちのお客さんにプロのカメラマンが多かったので、そういう方のアシスタントをしたりしていました。」

―独立して最初に撮った作品は何でしたか?
「アシスタントと並行して広告の撮影もしていたんですけど、本格的にやりはじめて最初の仕事はフリーペーパーの撮影でした。」


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『Moon Desert 鳥取砂丘』

―カメラとか写真って時代とともに変化していて、その流れに逆らうことってけっこう難しいというか…。カメラマンだとなおさらで、そういった点も含めて苦労することも多いのではないでしょうか?
「フィルムの時代と比べて、仕事のサイクルはすごく早くなってきています。以前は、フィルムを現像所に出したらそれで仕事は終わりでしたが、今は修正とか何もかも全部自分でしないといけないでしょう。そういう意味でカメラマンの仕事的には増えていますね。『デジカメだから安くできるでしょ』ってみんな思うんですけど、デジカメになってからカメラマンとしての仕事量は上がっていますし、そのへんに対してお客さんとカメラマンとで温度差がありますね。」

―今、デジカメの話が出てきましたが、フィルムからデジカメに移行する時、いろいろと想うことがあったのでは?受け入れにくい部分とか。
「僕が広告撮影をやりはじめた頃にはだいぶデジカメに変わってきていたので、フィルムはどちらかというと趣味的な部分。仕事でポジフィルムを使うのは『さんいんキラリ』って雑誌ぐらいなので。やっぱりレコードとCDと一緒で、デジカメとポジフィルムを比べても全然ポジの方が綺麗ですね。どれだけいいデジカメを使ってもポジフィルムには勝てない。一見デジタルの方が綺麗そうに見えるんですけど、例えば、部屋にデジタルとフィルムそれぞれで撮った同じ写真を飾ったとして、見飽きないのはフィルムだと思うんです。深さがあるというか。デジタル写真がほとんどになってきているので、本当によいものを見る機会が少なくなってきているように思います。CDで音楽を聴くよりも、ライブで聴いた方がいいでしょう?それと写真も一緒で、フィルムで撮って手焼きして…の方が断然良い。それで仕事になるかと言われると難しいところですが、ちょっと寂しい気はしますね。大学時代からパソコンはかまっていたし、デジカメに移行したからどうってことはなかったですが、今の若いカメラマンはフィルムで撮ったことがない人もいるんではないかなぁと思います。僕もどちらかというとそっちよりですが、逆を言うと両方知っている世代かな。」


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『疾走』 『装美』

自分がこだわって撮る写真はフィルムがいいよね
―フィルムに戻りたいと思うことはありますか?
「はい。ヨーロッパを新婚旅行した時に、パリにあるヨーロッパ写真美術館へ行ったんですね。そこにある作品に、デジカメで撮ったものはひとつもなくて、どれもフィルムで撮ってあるんです。そういうのを見ていると、用途によって使い分けないといけないのではないかなぁと思います。報道とかの仕事はデジカメでもいいかもしれませんが、自分がこだわって撮る写真はフィルムがいいですよね。」

―今では手に入りにくいフィルムとかもあるんですか?
「ありますあります。すごくなくなっていますよ。」

―デジカメが主流になって、需要がなくなっているんですね。少し話は変わりますが、デジカメになってからシャッターを切る1回が軽くなったのかな、と感じるんです。
「フィルムだと24枚、もしくは36枚と撮れる枚数が制限されるのでその中で物語を作っていかないといけない。子どもの遠足を撮るとして、お弁当を食べて、遊んでっていうのを計算しながら撮らないと一本使ったらそこで終わりになるでしょう。デジカメだと動画と変わらないくらい撮れてしまいますからね。撮りすぎることを悪いとは思わないですが、感覚としてシャッター1枚1枚は軽くなったと思います。」


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『希望』 『初々しく』
まさにこの時しか撮れない写真を撮っておくという事は、私にとってすごく重要なのです。生まれたらおなかはへっこんじゃうし、人生に数回しか経験できない貴重な瞬間。 写真始めた頃、大判カメラでポジフィルム撮影をはじめてした時の写真。写真加工しなくても、大判カメラには色々な撮影ができる技術がつまっています。

僕が思う写真は『記録』が全て
―フィルム、デジカメそれぞれにメリットやデメリットは存在しますが、全てを統括して写真の魅力とは?
「僕が思う写真は『記録』が全て。報道とかって写真の原点のような気がします。写真は誰でも撮れるじゃないですか。下手上手いはあるかもしれないですけど、良い悪いっていう写真はあまりないと思うんです。」

―携帯でも撮れますからね。
「例えば、ちょっと前に携帯で撮った写真が15年後に残っているんでしょうか?今はみんなデジカメで写真を撮りますけど、果たしてそれがいつまで残るんだろうって思います。しかも、プリントしないで、ハードディスクやCDに入れてしまうでしょう。それは消えたら終わりですし、形に残していかないと記憶もいずれなくなってしまう。やっぱり写真はアナログが一番ですね。」

―日々の全てのことが一瞬だし、それはもう戻ってこないものじゃないですか。でも、その時々の出来事を思い出したくなることもある。さきほど、写真は記録だとおっしゃっていましたが、振り返るためのツールでもあるというか…。
「保育園の撮影に行って、今撮っている写真がこの子の結婚式のスライドショーになったり、小さい頃のかけがえのないものになるって考えると、1枚1枚気合が入ります。ビデオって手段もありますが、これはまた違う文化ですよね。ビデオは見るのにいろんなツールがいりますけど、写真は簡単に見ることができる。音声がない分、『あの時こうだったよね』ってみんなで話せるのが写真の魅力だと思います。」


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『Night Desert 鳥取砂丘』

―今後どういった活動をしていきたいですか?
「そうですね…。機内誌の写真も撮ってみたいですし、日頃撮りためている写真で写真展を開きたいとも思います。それに、写真の普及をしていきたいですね。さきほど話した記録写真も、目線を変えるとアートになると思います。ちょっと勉強をすれば普段と違う写真が撮れるでしょうし。ちょっとでも多くの人に写真の魅力や楽しさを知ってもらいたいですね。」


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『勇壮』
隠岐の仕事をさせていただく機会が多くて全ての島の写真を撮っている。日本ではないような風景、いや日本の原風景なのかも知れない風土がここにはある。

kayano_09Profile:萱野 雄一(Yuichi Kayano)
カメラのカヤノ代表
東和大学工学部卒業後カメラのカヤノに入社。県内外問わず有名カメラマンのアシスタントをしながら経験を積む。
88フォトモール代表・88フォトモ代表。
鳥取総合芸術文化祭実行委員など地域の写真文化活動に参加、積極的に地元の写真文化活動に取り組む。
現在はカメラのカヤノ代表取締役に就任し広告写真を中心に撮影や個展などの活動をしている。